Rugir Pickups’s blog

手巻きピックアップビルダーの制作解説などギター関連ブログ

フレット修正 Rugir Pickups

ちょうど広告で、フレットのPLEK加工の宣伝が入っていたので、普段行っているフレット修正、擦り合わせについて少し。

フレット修正が必要なのは、音がへんにビビったり、濁ったりした時ですよね。

原因は大体3つあります。

① 押さえたフレットより1つ下(高い音)のフレットに弦が触れている。

② フレットがすり減って弦のところだけ凹んでいる。

③ ナット溝の幅が弦よりかなり広くて中で弦が遊んでしまっている。

①のケースでは、指板が反っている時と、下のフレットの高さが高い時の2つのケースがあります。

新しくギターを入手したときのフレットは次のようにチェックします。

使っている道具がこちら。

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右から60㎝物差し、目立てやすり、L型定規2本(1本は短辺を切ってある)、上にスリットいり薄板、黄色がフレットフォイル、一番左がナットフォイルセットです。

ちなみに机の上には12㎜のコンパネを置いて、表面に革をタッカーで張っています。作業で汚れていますが切り貼りの台としても、ハンダ作業や穴あけ作業の台としても使いやすいです。

1.弦を外してロッドを回し、反りがほぼゼロになるように調整。反りのチェックは60㎝の金属物差しを使っています。まっすぐなものならなんでもよいですが、指板長さより長いものが必要です。

2.フレットの弦の跡が深く削れているときは、30㎝のアルミのアングルに紙やすりを両面テープで貼り付けたもの(今は320番と800番が貼ってあります)で、大体跡がなくなるまでその周辺のフレットを平均的に削ります。

あまりに深い時は、完全に削らず、ほどほどのところで止めておきます。

3.フレット3つに短い物差しを渡します。10㎝、5㎝、4㎝を準備しています。10フレットくらいまでは10㎝で、17フレットくらいまでを5㎝で、それよりハイポジは4㎝を使います。3つのフレットのうち真ん中が高いと、カタカタしますね。カタカタしないところまでやすりで高さを削ります。

4.高さがそろったらフレット1つ分ハイポジ側に物差しを移してカタカタチェックします。高い時は高さをそろえるようやすりで削ります。

5.2つフレットを戻って、削ったせいでカタカタが発生していないかチェックします。カタカタしていればまた削ります。

6.また下に物差しをずらしていって、カタカタチェックと削りを繰り返して、最後のフレットまで進みます。

永遠に3-5を繰り返すのでは?と思う方もおられるでしょうが、ほとんどの場合、戻っての再やすりは必要ないです。

7.指板の反りをチェックして、問題なければ全体的に2.で使ったアングルで軽く擦り合わせます。

8.フレットの頭が台形状になっているので、フレットフォイルで肩を削って落とします。フレットの幅で3種類がありますが、ほとんど一番太いもの用を使っています。

フレットの頭にマジックで色をつけて、削れ具合を確認しながら削ります。マジックで指板を塗らないように、マスキングテープで養生した方がよいですね。

9.フレットを磨きます。スリット入りの薄板を当てて、400番→800番→ピカールへと進みます。

10.弦を張って反りを調整したら出来上がりです。

2.で深い傷がある時は、横方向になだらかにしたうえで、その部分だけ肩を削ります。そこだけ細い感じになりますね。ギターを倒してしまって弦のあとだけ鋭く傷が入ったときも、同様にそこだけ修正した方が良いでしょう。

簡単にすり合わせしたいときは、弦を張った状態で反りを調整し、紙やすりを張ったアングルを弦2本の下にくぐらせて軽く削る方法もあります。メリットは反りの調整を2回しなくてよいことと弦を外さなくても良いことですね。

なおボルトオンネックなら、弦を緩めてナットあたりにカポをはめて、ばらけないようにしてからネックを外すと作業性が良いです。セットネックの場合はあきらめて弦を外した方がよいでしょう。きちんと外せば弦はあとでまた再利用することができます。

再利用しやすいように、弦を張る時はプライヤーでつかめるように5㎜くらい余らせて切っています。長くなったのでナットの話は次の記事で。