初めまして。Rugir Pickupsビルダーのartbrainsです。
元々各種工作が好きで、革製品制作、家具作り、ナイフ作り、それからバイクに乗っていたころはFRPで部品を作ったりしていました。
ある時バンドを始めたのがきっかけで、ギター関連のものも作ることを始めました。
最初は部品の交換、電気関係の交換などを行ってましたが、ある時ふと、「ギターもつくれるんじゃね?」と思い、木材と部品を買ってきて、ボディーの切り出しからネックの成形、指板取り付け、フレット打ち込みなどなど、一から十まで自分で作業して作ってみたのが1号機です。その過程で、指板のポジションマークのシェルインレイ、塗装など、細かい技術も得ることができました。1号機はシングルコイルのストラト似でした。
2号機は、ハムバッカー搭載で、ボディー全体にインレイを埋めた美術品風、3号機はP90タイプでムスタングタイプのトレモロ付き と、異なったタイプのギターを制作してみました。
しかしながら当然売れ先もなく、また機材の騒音もかなりのものでしたので、本体制作は中断し、電装系のアップグレードを中心にすることとしました。当時は自分のギターをいじるだけでしたが、良くあることでギターはギターを呼び、だんだん部屋に溜まっていきます。当然家人の目が「なんとかせい」と冷たくなっていくなかで、ふと横浜中華街の「カミナリギター」さんに立ち寄ったところ、ギターの委託販売をしてくれることがわかりました。そこで手持ちの数本を委託したのが、はじまりでした。手をかけたギターのセッティングや音が良いと褒めて頂いて、常に複数本委託をお願いしているなか、ふとピックアップも自作してみようと思い、巻き始めたのがピックアップ制作がメインになった道行きです。
最初はヤフオクに売れるかなと半信半疑で出してみたのですが、お陰様で評判も良く、コロナで飲みに行くことも旅行もなくなったので、日々ピックアップを巻く毎日です。
ときどきギターの改造や修理もしたくなり、ジャンク品のネック補修(ギブソン多いですね)と、手ごろな価格のギターの配線アップグレードも行って、ヤフオクに出品しています。ネック補修は接着+補強材埋込で、確実に元より強度アップしていますので、そこからもう一度折れることはないでしょう。補強材の入れ方も、まっすぐではなく若干斜めに入れることにより、接着強度+本体強度が出るように工夫しています。職業柄構造的な検討には慣れていますので。接着剤も普通はタイトボンドですが、ニカワも併用しています。
さて本題のピックアップ制作ですが、正直最初はやみくもに巻いていた感じでした。しかしながら各種ネット記事、主にアメリカのピックアップメーカーやフォーラムの記事で勉強し、ターン数と出力の関係、出力と音の周波数のピーク、ワイヤー径と出力、直流抵抗値の関係、磁石の位置による磁界の変化、などを組み合わせることでだいたい狙いの音が出せるようになってきました。それでカスタムオーダーも受けられる自信がついてきたのが現状です。
PU制作は手回し機・手ガイドによるほぼ完全手巻きになります。ガイドも普通はガイド治具をつかってはみ出さないようにするのですが、ガイド無しの目視及び手の感触で、ぎりぎりまで巻いています。当然巻きも凸凹するので、修正しながら巻き続けます。
下に見えるのがポリウレタンAWG42のスプールです。イギリスに発注しました。
そのまた下にみえませんけれどプレーンエナメル0.05㎜の5㎏スプールがあります。
最初に出音のイメージを考え、目標インダクタンスと巻き数を設定し、線径・ターン数・ワイヤーを複数繋げるのかとか巻き形状などを考えたレシピを作り、それによって巻き始めます。途中で数値を確認しながら、目標に達したら巻き終わりです。
最初は直流抵抗値しか測れないテスターを使用していましたが、今はインダクタンスやキャパシタンスも測れるDE-5000というテスターを使用しています。
こんな完全手作業によるピックアップの音は、機械巻きよりも味がありますね。自分でもテストして、音が平板でなくなったことが良くわかります。
ベアナックルとかリンディーフラーリンなどには及ばないですが、ベストコストパフォーマンスを目指して頑張ります。
Rugir Pickupsという名前は、ブランド名を考えていた時にまずLOA(英語で轟轟と)という単語に行きつき、でもLoaでは語感がいまひとつなので、類似の意味を持つ別の言語を探していて、フランス語のRugirという語句にたどり着きました。
シングルではRugirな音ではないかと思いましが、リアはかなり高出力で使える音がでるものができますし、ハムバッカーは最高10Hというものも巻いたので、轟轟と轟くような音のピックアップが作れるかなと思います。
不定期に投稿しますので、ときどき訪問してみてください。