Rugir Pickups’s blog

手巻きピックアップビルダーの制作解説などギター関連ブログ

テレキャス用P90+リア音源 Rugir Pickups

オーダー頂いたテレキャス用のフロント・リアのセットです。

フロントはP90で、ふくよかな音を狙っています。結構中音寄りです。リクエストよりは低めな音かなと思います。アンプのトーン調整の範囲と思います。

リアはRWRPでミックスでハムキャンセル効果が出るようにしてあります。キンキン感を抑える狙いで、少し出力高め、キャパシタンス多め、かとトップファット巻き形状としています。

https://youtu.be/KhLHoVQ_W3o

 

K&Tさんのhp記事にもありましたが、こちらの形状の方が中音よりになります。

何故か?ですが、コイルの断面積が大きい方がインダクタンスが大きくなり、そのためにピークレゾナンスが低めにシフトします。

但しこの巻き方は、法面(土木関係の方はおわかりですね)が崩れやすいので、ときどき法面強化巻きを入れる必要があります。

 

f:id:rugirpickups:20220104101203j:plain

今回は更に工夫し、この状態から凹んでいる部分にワイヤーを逆方向に1300巻きくらい巻いて、その後にまた元の方向に巻いて最終的に11000ターンくらいにしてあります。つまり「ひとりシングルスタック構造」です。逆巻き数が多くなくてもそれなりにハムくやんセル効果があることは、これまでのシングルスタック(いままではボビン下のスペースで逆巻き)の経験でわかっていたので、今回は同様の逆巻き数を、巻き場所を別にしないで連続的に逆巻きしています。手回し機なので、一度手でワイヤーを持って、その上に逆巻きでワイヤーを重ねて固定して逆巻きし、1300ターン程度してから同じように巻き方向を変えています。利点は巻替え部のワイヤーをひっかけにくいこと、欠点は効果が若干でにくいこと です。

 

以前実験したのですが、トップファット巻きはインダクタンスの増加がフラット巻きよりも早くなります=巻き数が少なくて出力が高め=ノイズ少な目 です。

但しボビンの大きさと巻きたい数があるので、テレキャスリア以外はこの形状で巻けないのが現実です(ストラト用だとトップファットだと巻き数が不足する)。

 

巻き数を少なくしたい人もいますが、エレキっぽく出力高めにしたい場合は次のような方法があります。(ストラト用を想定)「

①ボビンの巻き高さを通常の10㎜程度から5㎜程度に小さくする。

②例えば3000ターンと設定して、ボビンの大きさ一杯に巻ける最大の太さのワイヤーを使う。PE42か、UEW0.07㎜(オヤイデで売ってます)あたり。

③巻きのスキャッター度合いをなるべく下げる。

④フルポットとして、ポッティング終了後ギュッと押さえる。

「インダクタンス=(ターン数の二乗×磁力×巻き断面積)÷巻き高さ」が公式ですので、 ①と②はそれに沿っています。

③ですが、キャパシタンスが高い方が中音よりになるので(巻き数が少ないと高音より)、スキャッター度合いを小さくする=なるべく一定にかつキッチリ巻くのが、中音よりにするコツです。

さらに④はワイヤー間隔を狭める方がキャパシタンスが上がるので、フルポッティング後指でギュッと押さえます。

リクエストがあれば作っても良いですよ。