Rugir Pickups’s blog

手巻きピックアップビルダーの制作解説などギター関連ブログ

ピックアップの音に影響する要因 RugirPickups

日本語のサイトはまずないのですが、海外サイトにはピックアップの音に影響する要因とその傾向について書かれているものが多くあります。

これなどは比較的まとめて書いてあるものです。

https://www.electricherald.com/pickup-winding-guide-part-i-approach/

 

・ピックアップ出力が何で決まるか? 公式がありますが、ざっくりいうと巻き数、コイルの面積、磁力、巻き高さが影響し、インダクタンスL(単位ヘンリー)で表されます。

・明るさ(ブライトネス) 巻き数・磁力・巻きテンション・巻いた形・キャパシタンスが影響します。キャパシタンスは、ワイヤーとワイヤーの間の距離(被覆の厚さ、スキャッター度合い、テンション)、金属カバーの有無 が影響します。

・レンジの広さ 磁界の広さや形が影響します。ポールピースと弦の距離も影響するので、ストラトなど弦とPPが対応するものはそれぞれ高さを変えていたりします。

オーダーメードピックアップのレシピ(仕様は磁石の種類、ワイヤーの種類、などハード面を指し、レシピは巻き方などを示すものと自分では整理しています)の決め方は次のようになります。

・出したい音や好みをよく聞く。

・出力(低出力・高出力など)のヘンリー値を設定する。

ここで磁石とワイヤー径を大体決めます。場合によっては巻いている途中でワイヤー径を変えます(途中で継ぎ変えます)。

キャパシタンスの傾向を決める(高いあるいは低い)。

ここでワイヤーの被覆の種類を決めます。巻き数も関係します。ストラトテレキャスの場合はボビン高さ(隙間)も決めます(ストラトの場合9㎜か10㎜、時々11㎜にしています)。

リード線の種類も影響するので、出したい音にあったものをチョイスします。ストラトはクロス巻き・HBは1芯メッシュシールドが多いですが、銀入りを使ったりもします。

・分離感の多寡を決める。

PPの形状を決めます。ポッティングの深さにも影響します。

・残響の多寡を決める。

ポッティングの深さを決めます。巻きテンションも決めます。

最後にそれぞれの項目間で齟齬がないか、考えます。

例えば出力高めの時には巻き数を増やすことになりますが、巻きテンションが低いと巻ききれないことになるので、テンションを上げるかあるいはワイヤー径を細くする必要があります。

音を明るく・暗く(高音より中音よりとも言えます)する方法はいくつかあるので、出力の多寡など他の要素も同時に満足する最適解を探すことになります。

巻きテンションは難しくて、ルーズだと明るめ・残響多め・抵抗値低め/タイトだと暗め・残響少な目・抵抗値高め になるのですが、引っ張りすぎると逆に抵抗値が低くなったりします。

巻いた形状も影響があり、例えば横から見て基本は四角ですが、逆台形・太鼓型・台形 とそれぞれ音が微妙に変わります。コイル面積と弦からの距離の問題です。

巻き付け方も、ボビンに一様に巻くのと、ある場所に集中的に巻いてそれから別のところに集中して巻くのとでは、音色は変わりませんが音の揺れが変わります。

一度試奏を聞いて頂いたあとに行う調整は、PPの形状とポッティングで行うことが多いですが、時には巻き足しや巻き解きも行います。