Rugir Pickups’s blog

手巻きピックアップビルダーの制作解説などギター関連ブログ

エアー感のあるSTセット音源 RugirPickups

エアー感のあるものというリクエストで制作したストラトセットになります。

「エアー感」とは? ですが、自分なりの解釈は、アコースティックな感じで分離感はあまり強くなく、アコギのような感じでシャラーンとなるもの となります。

この感じを出すには、出力低めで分離感そこそこ・「明るさ」はそれほど強くなく というレシピが良いのではと思っています。

加えて、高音1弦を強くして鈴なりというか金属音を出すか、そこまで出さないか をご要望に応じて調整しています。今回はそれほど高音をきつくしない ということで、ワイヤー径と巻き方などを変更しています。

今回は、使用するワイヤーを通常のプレーンエナメルAWG42ではなく43を使用しています。巻き方はスキャッター度合いを少なくしています。

試奏はギターのポットはボリュームもトーンもフルテンにし、アンプのトーンノブはいずれも12時としています。お好みに応じてトーンなども変えることはできるのですが、それだと調整できてしまうので、ピックアップ本来の音を聞いて頂くために、セッティングはいつも同一にしています。出る音は調整できますが、出ない音は出せない(もともと高音が出るPUならそれをトーンノブなどで中音より調整できるが、高音が出ないPUから高音が出るようにすることはできない)ということです。

 

 

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今回は、アコースティックな音 というご要望かつキンキンしすぎない というご要望でした。アコースティックな音を出すには、出力を低くする方法があるのですが、そうすると高音がきつくなる傾向になります。出力を2.3Hくらいに抑えつつ出音を中音よりにするには、相反する2要素を両立させるレシピにする必要があります。

中音よりにするには巻き数を増やして出力を上げるやり方がありますが、今回は使えません。キャパシタンスを高くすると中音よりになるのですが、やり方としては、ワイヤーの被覆厚を小さくする・スキャッター度合いを下げる・同じ巻き数でインダクタンスを上げる などの方法があります。そこで、通用PE42を使うところをPE43を使用し、かつボビンの巻き付け高さ(上下フラットワークの隙間)をよく使う10㎜から9㎜に小さくしています。リード線も関係するのですが、こちらはフェンダー系でよく使われているプッシュバック式クロスワイヤーにしています。高音寄りにするときには銀入りのPVC被覆ワイヤーを使うことがあります。HBの場合は、1芯メッシュシールドを使うことが多いですが、ご要望に合わせて2芯でシールド無しを使うことも良くあります。

フロントはご要望に合わせてレシピを設定します。ミドルとリアは、フロントに合わせることが多いです。あとは、演奏する曲の傾向に合わせ、フロントをアルペジオに使い、リアはミュートでザクザク刻むような場合は、よりタイトになるように、ポッティングを深くしたりします。フルオーダーの利点は、3つのPUそれぞれで巻き方を変えることもできれば、ポッティングの有無も変えられることです。自分もそうですが、フロントはほぼクリーンのアルペジオ、リアはHR系のコード弾き の場合、フロントは残響たっぷりのエモーショナルな音が出るように、リアはゲインを上げた歪みでもハウリングしないようにレシピを変えて制作します。ミドルは自分はほぼ使わないです。