Rugir Pickups’s blog

手巻きピックアップビルダーの制作解説などギター関連ブログ

兎角フローティングは難しい Rugir Pickups

フローティング系のトレモロはいくつもありますが、調整が難しいですね。

フロイドローズは、もう最初からアームアップダウン前提ですので、それなりの調整機構があります。しかし調整にはコツがあります。

フェンダーのシンクロナイズドトレモロは、アームダウン方向にほぼ動きが限られているので、チューニングにあまり気を使わないことが多いですが、何かの拍子でフローティングになっていると大変です。

フルフローティングのチューニングは、弦の張力の和と裏のスプリングの張力の和で決まります。

1弦~6弦の弦の張力の和 = スプリングの張力の和

従って、1-6弦の「相対的な音の高さの差」を正しく調整したあと、スプリングの張力をネジを締めるか緩めるかして、A=440Hzに合わせることになります。

1~6弦の張力の和=スプリングの張力の和ということは、ある弦を締めると他の弦は緩むことになります。例えば5弦を締めると、その分4弦6弦を中心に音が下がります。ですので、普通に5弦からチューニングを始めると、こうなります。

5弦をAに合わせる=4弦が下がる→4弦を上げる→5弦が下がる→5弦を上げる→4弦が下がるがなんとか合わせる→3弦が駄々下がり→3弦を上げる→5弦4弦が下がる→5弦4弦を上げる→3弦が下がる→3弦を上げる と無限ループに入り、一方弦の張力の和はどんどん上がっていくので、スプリングが引っ張られて、トレモロのエンドが上がっていくことになり、最後にだいたい1弦が切れます。

これを防ぐのによく使われるのが、木片などを挟んでアームアップしないようにして弦のチューニングを行い、木片を外したあと、スプリングを留めているプレートをネジを締めて前に動かしてスプリング張力を上げて全体の音の高さを上げる方法です。

固定しない場合は多少難しくなります。 まず5弦を大体Aに合わせる→4弦を5弦5フレットより少し上げ目の音にする→6弦5フレットも5弦よりも少し上げ目にする→5弦が下がっているので上げる=4弦6弦の下がってちょうどくらいになる→3弦を同様に4弦5dフレット音より少し高く調整する→6,5,4弦が下がるので少し上げる→3弦を合わせる→2弦を3弦4フレットより少しだけ高く調整する→3弦を上げる(6,5,4弦はほとんど影響をうけなくなるので、必要に応じてあげる)→2弦が3弦4フレと大体同じことを確認して、1弦を調弦する(繰り返し)。

全体の音の高さのバランスが整ったら、5弦がA音になるように、スプリングの張力を調整する。

フロイドローズ系は、ここでネック側で弦を固定して、後の微調整はファインチューナーで行います(最初にファインチューナーの高さを大体揃えておきます)。シンクロはファインチューナーがないので、最後は成り行きです。

というわけで、ストラトはほとんどスプリングを十分強く締めこんで、浮かないようにされています。