Rugir Pickups’s blog

手巻きピックアップビルダーの制作解説などギター関連ブログ

HS3の構造 Rugir Pickups

DP117 HS-3、ご存じイングウェイモデルに3発乗っているやつですが、巻きなおしを依頼され、分解しましたので写真アップします。

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右が上ボビンで左が下ボビンです。完全な分離構造で、上下はネジで留めてあります。

上ボビンにかぶさっているのは鉄製のヨークで、マグネットは上ボビンにしか入っていません。磁力が弱い分を鉄製ヨークでカバーする作戦ですね。

磁極は上がN下がSですが、S極の磁力はヨークを伝わって、上端から出る(入る)ようになります。従って、N極 - S極の磁束線は極端に集束されて単位面積あたりの磁力が上がり、結果的にパワーがでるという構造です。

レースセンサーも似たような構造ですがもっと極端です。

ジャガーのPUはサイズは普通でシングルですが、同様のヨークが入っており、ポールピース位置に合わせてギザギザになっています。

Rugir Pickupsでも出力を稼ぎたいときは1-6弦の側面にヨークを取り付けることがありますし、1弦だけ強めたい時には1弦の横だけにヨークを入れることもあります。

HS-3はとても細いゲージのワイヤーで巻いてありました。AWGでいえば46位?(通常使うのは42-43です)。そこまで細い線は持っていないので、PE0.05㎜で上ボビンを巻いて、2.7H 6400ターンでした。下ボビンはノイズ低減のためと割り切り、シングルらしい高音域を削らないよう、UEW42で4000ターン、0.6Hに留めています。

抵抗値は10400ターン分、10K程度でると思いますが、有効出力は上ボビン分になるので、抵抗値の割に低出力です。

Rugir Pickupsで作るシングルスタックは、セラミック磁石がボビン下にあるものを使い、ボビン一杯にワイヤーを巻いて、逆方向に巻くワイヤーはボビン下の磁石に直接巻いています。そうすると巻き数を稼げるので出力がハム以上に出ます。大体上ボビンが10,000ターン 6Hくらいです。下の磁石は2000ターン程度ですが、それなりのノイズ低減効果があります。